政府の失敗 government inaction 2003 8 2

 今までの政府の景気対策は、公共事業が中心でした。
残念ながら、「規制緩和」や「小さな政府」という景気対策の発想はありませんでした。
「規制緩和」や「小さな政府」は、お金のかからない景気対策ですが、
この景気対策を実施すると、既得の利権が大きく減少しますので、考えなかったのでしょう。
しかし、「ひとつ規制緩和すれば、ひとつの産業ができる」、
そういう発想を持ってほしかったですね。
 さて、公共事業による景気対策の問題点を検証します。
この政策は、景気が悪い時には、
政府は、借金をしてでも、
公共事業を行ない、
景気回復を図る政策です。
 運よく、景気がよくなれば、税収が増えるので、
財政は、大きな黒字になり、
その黒字で、不況の時に作った借金を返済すればよいと考える政策です。
 しかし、現実には、
政府は、実際に好景気になった時に、
財政支出を抑えられない傾向が強いのです。
 なぜなら、政治家は、好況の時も、
「道路を作ってくれ」とか「空港を作ってくれ」という、
地元からの要望を断れないのです。
 だから、不況の時に借金が増えて、
好況の時も、財政支出を削減できないのです。
 いい例が、先日、新聞報道であった、
ある省の公益法人は、緊急と名前がつく事業を20年も実施していたということが起るのです。
20年間も、緊急な事業が続いてしまうのです。
これは、官僚もひどいが、政治家も利権が絡むので、見て見ぬふりをしたということです。
 いずれにせよ、こういう政策の失敗を、「政府の失敗」と言います。
不況の時に借金をしても、好況になれば、税収が増えるから、
その増えた税収で、借金を返せばよいと考えるのも安易ですが、
好況になったら、やっぱり、また、新しい公共事業をしてしまい、
結局、政府の借金が減らなかった。
こういう「政府の失敗」が、ここ数十年、続いているのです。